caoco’s blog ☆保育士のブログ☆

保育士として働いていての体験談や感じていることをメインに書いています。

園長先生の武勇伝

『私は昔、0歳児6人の食事の介助をひとりでしたわ。』

 以前勤めていた保育園の園長先生が武勇伝のように語っていたことです。

 

0歳児6人の食事の介助を保育士ひとりで行う。

 このことについて、このブログを読んでいるあなたはどう思いますか?

 

私は、赤ちゃん6人の食事をどのように介助したのだろう…と想像しただけで、ゾッとしました。

 

子どもの食事(特に0歳~2歳くらいの乳児)は根気と知識と技術が必要です。

『根気と知識と技術』

あえて大袈裟に思える表現をしました。

どうしてこのような大袈裟な表現をしたか、説明したいと思います。

 

子どもの月齢が目安になりますが、離乳食の初期食から完了食になるまでのペースは様々です。幼児食やその後の食生活にも大きく関わる『食事』の基礎になるのが離乳食です。

 

・『ごっくん・もぐもぐ・かみかみ・ぱくぱく』今、どの段階なのか。

⇒食事の分量や固さ、調理の形態など離乳食を進める目安になります。

 

・食欲旺盛か。食が細いか。

⇒食欲旺盛な子は、どんどん口に食べ物を入れて欲しがり、一口量が多くなりがちになったり咀嚼をあまりしないで飲み込んだり、食べるペースが速くなることがあります。食が細い子は食べられる量が少なかったり食べるペースがゆっくりになることがあります。ひとりひとりにあった食事量、食べるペースに配慮した介助が必要です。

 

・食べようとする意欲はあるか。好き嫌いはでてきたか。

⇒『イヤイヤ、食べたくない。』子どもは食べることを拒否する時もあります。

そんな時、どう気持ちに寄り添い『食べたい』という気持ちを引き出すかを考えなくてはいけません。『ちゃんと食べなさい!』ではない方法です。『食べる』意欲を育てるための介助です。

 

・ちゃんと座っていられるか。

⇒食事中、立ち歩いたり落ち着きなく体を揺らしたり遊び食べになるなどのことがあれば、言葉掛けをしたり体を支えたり、時には椅子やテーブルの見直しも必要です。

 

・手づかみ食べをするか。

⇒食べ物に興味を持ち始め手づかみで食べようとすることは成長の証です。手づかみ食べを見守りながらの介助が必要ですが、ぐちゃぐちゃする感触を楽しんで感触遊びになっていないかの見守りの大事です。感触遊びになっていたら、手を添えて食べ物を口に運ぶようにして『食べる』という行動を教える介助をしていきます。

 

・食具(スプーンやフォーク)に興味を持ちはじめたか。

⇒食具に興味を持ちはじめたら、食具を使って食べる経験の積み重ねがはじまります。

この積み重ねで食具を上手に使えるようになります。食具に興味を持たない子には、時期がきたら興味を持てるような働きかけが必要になってきます。食具の正しい持ち方などを伝えながらの食事介助です。

 

などなど・・。

 

乳児の食事介助は配慮したり気を付けなくてはいけないことがいっぱいあります。

それぞれの子どもの成長や個性を見ながら、その子に合った介助をしていくことが子どもの食事の自立へとつながるのです。

 

離乳食を丁寧に大切に進めるということは、幼児食を食べられるようになる頃には上手に食具を使い、しっかりと咀嚼をして、好き嫌いはあまりなく、食事のマナーも身についてきて、食生活が安定し、更にその後の未来の食生活にも良い影響があるということなのです。

 

『根気と知識と技術』分かって頂けたでしょうか。

専門職である保育士さん達には、食事は子どもにただ食べ物を食べさせること。とは思ってほしくないのです。

 

それでは、武勇伝のように語った園長先生の話に戻ります。

 

とても大事な乳児期の食事の介助、果たしてこの園長先生はできていたでしょうか。

0歳児クラス6人の食事介助を保育士ひとりで行う。。

できていたのなら、そのやり方を私に教えてほしい。

子ども6人を動かないように、なにかしらの方法(叱る?固定する?)で座らせて、好き嫌いを言わせず保育士主導で子どもの口にどんどん食べ物を入れていく。。。

そんなやり方だったら6人の介助ができたかもしれませんね。

 

でも、そのやり方は食事の介助とは言わない。

できていない。

私はそんな食事の介助、やりたくない!!!

 

人手が足りず、ひとりで介助をせざるを得ない状態だったのでしょう。

若い保育士さん達に叱咤激励するために、自分の苦労話として語りたかったのでしょう。でも・・過去の苦い経験を今の子ども達にも保育士にも極力させてはいけない。よい保育環境を作るのが園長の役割と思ってほしかった。

 

園長先生には、このようなあってはいけない出来事を武勇伝のように語ってほしくなかったです。

 

子どもも介助をする保育士も、食事の時間=辛い・苦しい・嫌い

になってはいけないのです。

 

生きることは食べること。

食べることは生きること。

 

おいしいね。楽しいね。って言いながらゆったりとした環境で食事はしてほしいものです。

 

食べる=楽しい

そう思える子ども達と保育士さんがたくさんいますように。心から願います。

 

追伸:好き嫌いは多少ならあっていいと思います。食事はおおらかに楽しくがいいいですね。